
かつての私には、「自分」というものがありませんでした。
周りからは、大学を卒業し、就職して、仕事があって、友達も彼氏もいて、趣味を楽しんで、幸せそうに見えていたかもしれません。でも、本当は全然違っていました。
自分の気配を消して、まわりに合わせるのが得意で、まるで忍者のようだと言われたこともあります。
自分の意見がなかったり、自分で考えようとしなかったり、自分を諦めて、斜に構えて、いろんなもの(世間体とか)に頼りっぱなしで。いま思えば、波風立てずに上手くやる方法ばかり考えていたように思います。
30代半ばになった頃。
仕事にもそこまで夢中になれず、結婚したいと思っていた彼とは温度差があって、仲の良かった友達は、少しずつ子育て中心の生活になっていきました。
「私はこのまま、どうなるんだろう」なんだか置いていかれたような気持ちになることが増えていきました。
そんな時、一冊の本に出会って、自炊を始めました。
そこで初めて、今日は何を食べよう。どの野菜を買おう。この味つけ、ちょっと濃かったな。そんな小さな試行錯誤が、思っていたよりずっと楽しかった。
それまでは、自分で決めているつもりで、何も決められてなかった。世間の常識、正しいといわれている情報、権威のある人の発言などに流されていたことに気づきました。
そして、自分が食べたいものを自分で選び、自分で作る自炊をしていくうちに、自分がどれだけ周りの意見に囚われていたか、窮屈な場所に自分を閉じ込めていたのか、やっとわかったのです。
それ以来、自炊は、私にとって、自分を取り戻し、自分らしく生きるための大切な手段になりました。
だから、あなたにも自炊をおすすめします。
食事も人生も、楽しく美味しく、シンプルに。自炊を通して、「わたしを生きる」感覚を、一緒に思い出していけたら嬉しいです。