料理が簡単になる、上達する秘訣は何かと問われたら、私は「観察力」だと答えます。
調理のスキルや知識よりも大切なのは、目の前が、いま、どうなっているのかをまっすぐ見ること。それができて初めて、必要な判断ができます!
それは、料理だけじゃなく、仕事、子育て、人間関係、遊びも同じかもしれません。
例えば、野菜を茹でるとき、
「どこが茹で上がりかわからないです。」「何分、茹でたらいいですか?」と聞かれることがあります。
それは、答えられないー!その時、その時で、茹で上がる時間は違うから。決まっていないから。
野菜の種類、固さによって、火の通り具合は変わるし、お鍋のかたち、水の量、火加減によっても違ってきます。
だから、様子を見て、色や香りを感じて、自分で判断するしかない、めっちゃファジーな世界です!
私も含め、現代人(○×テストの学校教育を受けてきた人?!)はこのファジーが苦手な人が多いかも。
決まっていないことに不安を感じる。自分で判断することが怖い。そこには責任をとりたくないって気持ちが潜んでいるかもしれません。
野菜の茹で上がりが固すぎても、柔らかすぎても、料理の美味しさは半減します。
レシピ本に書いてある「茹で時間5分」を守ったのに美味しくなかったら、それはレシピ本のせいに、著者のせいにできるけど、
自分で「よし、これで茹で上がりOK!」と判断して、結果、美味しくなかったときは、自分の判断ミスだったと引き受けるしかないですよね。
そういうのを、無意識に怖いと思っていると、いつまでたっても、料理を自分ごととして取り組めないんじゃないかな。
なので、料理を自分ごととして取り組むために、まずは茹で方!しっかり観察しよう!と言います。
野菜の分量にあった鍋と水の量になっているか?
お湯の沸騰具合はどうか?
野菜の色はどう変わったか?
どんな香りがしているか?
一番ベストな状態はどこか?
そして、茹で上がりは、野菜の色がスッと透明に美しくなる瞬間、土臭い青臭い香りがフッと甘く美味しくなる瞬間、とお伝えしています。それは、言葉では伝えられない、自分でつかむしかないので、そこを逃がさないためにやっぱり観察なんです。
最初は、じっと鍋の中を見つめ続けるぐらい向き合って、どうすれば上手くいくのか、どんな時に失敗するのか、自分の中にデータを蓄積していくつもりで。そのうちに、予測ができるようになるし、「そろそろOKだな!」というタイミングで動くことができるようになります。
それが、バッチリうまくいったときの嬉しさ、喜びは、大きいですよ。私は、料理をするときに感じる、そういう小さなハッピーが好きです。
観察力を磨けば、茹でるときだけでなく、焼く、揚げる、煮る、発酵させるといった作業も、上手くできるようになります。
早めに気づく、早めに対処することができ、どこまでが大丈夫でどこからがダメなのか判断力もアップするから、手持ちのパターンが増えていく。いろんな事象に対応できるようになるでしょう。
料理の楽しさって、そこから始まると思います。誰かのマニュアル、指示から脱却して、自分だけの自由な料理が!!!
そして、これは料理だけのことじゃなく、仕事、子育て、人間関係、遊びなども同じです。観察力があがれば、いま、どういう状況なのか、相手はどんな反応をしているのか、ベストな対応は何なのかがわかります。
タイミングのいい女、気配りのできる女って、野菜の茹で方も絶対に上手だと思う。私の勝手な想像ですが、マジでそう思っています(笑)